瞬間
¥1,540
1996年のノーベル文学賞受賞後、初めて発表された詩集。
「未来」と言うと
それはもう過去になっている。
「静けさ」と言うと
静けさを壊してしまう。
「無」と言うと
無に収まらない何かを私は作り出す。
(「とてもふしぎな三つのことば」)
23篇の詩と解題、解説
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『終わりと始まり』でも有名なシンボルスカのノーベル文学賞受賞後初、七十九歳、最晩年の詩集。
シニカルでユーモアがあり、平易な言葉を綴る彼女の詩は哲学的で、どこかに愛おしい優しさが含まれている。円熟した晩年の詩集だからこそ感じられる悟りの境地であるのか、戦時中であった記憶の、死の匂いが漂うからなのか。
彼女の詩集で短く綴られる、”ことば”そのものに対する執着や愛着、そしてそこから生み出される創造的な世界を「哲学」と捉えるのであればそれまでであるが、そうした枠に収まりきらない何かが潜んでいるように思う。
本書でも『終わりと始まり』の翻訳を担当された沼野さんが訳・解説を担当されており、すべて入院中の病室で翻訳されたという。これほどに辛く、これほどに彼女の詩を理解できたのは初めてであると語っている。
解説を読んでも輪郭をうまく掴めない部分も多く、そこには彼女の人生観やポーランドの歴史を学んでいく必要があるのかもしれない。そうであっても、何度も読み返したいと思えるのは、この一冊に惹きつけられる魅力がどこかに眠っているからなのだろう。
言葉にしてしまうこと自体が無粋であるけれど、歳を重ねるなかで、読み返すうちに様々な感想を抱かせるようなこの作品は、大切に本棚へ置いておきたい一冊です。
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著者 ヴィスワヴァ・シンボルスカ
訳者 沼野充義
出版社 未知谷
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