サンライト
¥2,200
雑誌「BRUTUS」の編集者でありながら、美術作家としても活躍されていた、永井宏さん。彼が残した、たくさんの散文から26篇を編んだアンソロジーがこの『サンライト』。
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永井さんは、美術作家として活発に作品を発表してきた方ですが、同時にたくさんの詩や文章も残しました。
神奈川の海辺の町で暮らしながら作品を作り続け、また自身で「サンライト・ギャラリー」を運営し、「誰にでも表現はできる」「僕たちの暮らしそのものがひとつの表現になるんだ」といいながら、たくさんの人に表現することを勧め、背中を押し、励まし続けた人でもありました。
ギャラリーを閉じたあとは各地でワークショップを開催し、小さなブックレーベルを立ち上げ、出版も手がけました。早くからポエトリーリーディングを主催し、自作の歌も歌いました。ワークショップからはたくさんの表現者が生まれ、2000年代になって花開いた「暮らし系」「生活系」のメディアの担い手たちの多くはそんな永井さんの活動に直接、間接の影響を少なからず受けていました。2003年に僕がはじめたアノニマ・スタジオはまさにそうでした。
今回出版された『サンライト』は、永井さんの残した八冊の本から二六の散文を集めて編んだものです。少年時代の永井さんが過ごした東京、雑誌編集部にいたころに吸収した映画や音楽、喫茶店の文化。
メディアの世界から距離を置き、海辺の町で身近な暮らしに視線を向けた表現を紡ぎ出すまで。永井さんが提唱した「ネオ・フォークロア」という考え方への道筋がぼんやりと浮かんでくるような構成を目指しました。
(信陽堂編集室より)
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発行 夏葉社
編集 丹治史彦 信陽堂編集室
装幀 櫻井久
カバー撮影 白石和弘
協力 南里恵子、藤原康二